Craftsmanship
造り
妥協を排し、手本なき究極を求めて。
米、水、磨き、時──
菊姫の酒は、六つの覚悟からできている。

壱其の壱
米──兵庫県吉川町産山田錦
酒米の王・山田錦。その発祥にして頂点が、兵庫県三木市吉川町の特A地区である。菊姫は半世紀以上にわたり、村米制度に連なるこの地の契約栽培米を使い続けてきた。圃場調査、田植え、稲刈り──蔵人は毎年吉川町に通う。米をつくる人の顔を知らずして、酒は醸せない。

弐其の弐
水──霊峰白山の伏流水
日本三名山・白山。その雪解け水が幾十年の歳月をかけて濾過され、手取川の伏流水として蔵の地下を流れる。GI白山──国が認めた、この土地でしか造れない味。かつて「天下第一」と評された剱の酒は、この水から生まれた。菊姫のテロワールは、白山そのものである。

参其の参
磨き──完全自社精米
蔵に隣接する大規模精米所。日本酒メーカーとしては異例の、全量自社精米を貫く。米の出来は年ごとに違う。その年の米と対話しながら磨きを調整できるのは、自ら磨く者だけだ。
「精米を他所に頼むようなら、
酒造りをやめろ」──家訓

肆其の肆
時──熟成
搾ったばかりの酒は、まだ完成ではない。菊姫は普通酒でさえ一年以上、大吟醸「菊理媛」に至っては十年の歳月を蔵で寝かせる。そのための巨大な低温貯蔵庫。角が取れ、味が乗り、酒が酒になるのを待つ。時間もまた、菊姫の原料である。

伍其の伍
矜持──ラベルの味を変えない
「去年と同じ味」──簡単なようで、酒造りにおいてこれほど難しいことはない。米も気候も毎年変わる中で、同じラベルには同じ味を。流行を追わず、呑み手との約束を守り抜く再現性こそ、菊姫が「メーカー」を名乗る理由である。

陸其の陸
継承──酒マイスター
名杜氏の勘は、その人と共に消える。だから菊姫は、個人の経験や勘に依存しない組織的な品質管理体制「酒マイスター制度」を築いた。五感を磨き、数値で裏付け、技術を言葉にして次代へ渡す。伝統は、科学によって継承される。